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top > 2009年01月 > 18日
2009
Jan
18
AM0:35

 あれは八日だったか、ずいぶん久しぶりに、小学校から高校まで十二年間通った母校を訪れた。少し先に出る「文藝春秋」本誌に掲載予定の、「同級生交歓」のグラビアページの撮影。
 通っていた頃から思っていたが、今見てもつくづくと絵になる学校である。 冬でも青いロータリーの芝生。天をつくヒマラヤ杉。それを取り囲むのは、中世イタリアの建造物を彷彿とさせるチャペルと校舎群。
 築半世紀をゆうにこえるチャペルの中はちっとも変わっていなかった。高いたかい吹き抜けの天井を古木の巨大な梁が支え、橙色のガラスと鋳物でつくられた灯りがずらりと鎖で吊されている。しっくい塗りの白壁に、長椅子はイギリスアンティークに似せて作られた無垢のオーク。
 そうか、私の美的感覚(があればの話だが)のうちの多くはここで、十代の時に形づくられたものなのだなあと思う。

 同級生のうち一人は、「きょうの出来事」のニュースキャスターをしていた小栗(小林)泉さん。彼女の父上は、『太陽にほえろ!』の次回予告編ナレーションなどで有名な故・小林恭治さんである。
 もう一人は、ダンサーをはじめとした表現者のポートレートを得意とする、フォトグラファーの村尾昌美さん。私と同業の室井佑月さんと組んでの写真集なども出している。
 
 美女三人(往年の、と言うなかれ)が並んで、遠くの祭壇を背景にぐっと奥行きのある写真を撮ってもらう間も、文字どおり「姦しく」喋り続け、今日のところはそれぞれ用事が詰まっていたのでおとなしく解散。近日中に、あらためて集まる約束をする。
 ともに一枚看板をかかげて仕事をしてきたという意味で境遇が似ているせいか、二十年ぶりに会ったというのに話していてとてもラクだったなあ。 去年、卒業以来はじめて同窓会に出席してからというもの、かつての友人と会うことが苦痛ではなくなっている自分が、まだちょっと新鮮。
 あのとき、
「同窓会、出たことがないんなら出たら? したことのないことは、してみるといいよ」
 と、しごくシンプルな助言をしてくれた同居人に感謝、かな。

 階段を踏み外してひねった足がまだ痛むので、車で送り迎えしてもらった。
 どうもねえ、足首の外側の靱帯を一本、切っちゃったように思うのよねえ。ひねった瞬間、パキィンッ!って中で音がしたから。
 ま、靱帯は左右と前後に合計四本あって(前後のはクロスしてます)、そのうちの一本が切れたくらいじゃさほどの影響はないし、お医者へいったところで手術にもならないはずだから、日にちぐすりでウヤムヤに治すしかなさそうだ。げんに、かつてスキーで転んで切った左膝の靱帯は、二本切れていた場合にそなえて全身麻酔で手術台にまで上がったものの、結局一本きりだったからつながずじまいだったもの。

 何はともあれ、とても気持ちよく晴れていたので、執筆に煮詰まっていた私にとっては気分転換のドライブにもなった感じ。 よござんした。

    ※  ※  ※

 翌九日は、朝の十時半スタートで、都内の書店の何軒かに御挨拶にまわった。 もちろん、『ダブル・ファンタジー』をよろしくお願いします、の御挨拶であります。
 出てしまった本のことはどうでもいい、というタイプの作家もけっこう多いけれど、あれだけ思いを尽くして書いたのだから、できることならちゃんと読者に届いて欲しい。届けるためには、書店のなかでも出来るだけいい場所に置いてもらいたい。 物書きなんて、ほんとに非力だ。いくら頑張って書いたからって威張れやしない。その本を書店の人に売ってもらって初めて、ようやく読者とつながれるんだもの。
 そんなわけで、現場の方々に、どうかよろしく頼みます、と心からお願いをした。
  サイン本のほうが動きがいいと言ってもらえるのなら、なんぼでも作りますよ、はい。

 そのあと、渋谷東急文化村で、noda map(野田秀樹氏の舞台)の新作、『パイパー』を観る。火星に移住した地球人の末裔がたどる、戦慄と衝撃の物語。
 姉妹役の松たか子と宮沢りえももちろんよかったけれど、何といっても父親役の橋爪功だなあ。
 いやはや、凄かった。ピンポイントで枯れセンを宣言しちゃいそうだ。

   ※  ※  ※

 で、あれよあれよというまに、本日はもう十七日、いや十八日に突入か。
 来週いっぱいぐらいまでにあと130枚ほどを書きあげなければならないのだが――

 うう。
 ううううう。
 風邪、ひいちゃいました。こういう時に限って。(TÅT)
 体だるい、熱っぽい、節々が痛い。
 詰まった鼻をズビズビいわせつつ、なんとか机に向かっております。



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