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2003
Apr 03 |
AM0:00
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Dear Friends,
春ですねえ。 鴨川の我が家では、川沿いに最近植えたばかりの桜の苗木が、小さいなりにちらほら花を咲かせています。今はまだ私の背丈にも及ばない若木だけれど、いつかは見事な桜並木に育ってくれるはず、と楽しみでなりません。 でも ―私たちが桜前線がどうしたなんて言って浮かれている間にも― べつの国では今この瞬間、花になんて目を向ける余裕もない、死と隣り合わせの暮らしを強いられている人たちがいるんですよね。 間違っているとしか思えない大きな力の前に、正しいはずの小さな声がかき消されてしまいがちなこういう世の中で、物書きである私にはいったい何ができるんだろう。今だけじゃなくこれから先もずっと、それこそ、うちの若桜たちが並木と呼べるほどに育つまでの年月をかけて、私にできることは何なんだろう。 今回、初めて文藝春秋から上梓した『星々の舟』という小説は、私にとって、自分自身に投げかけたその問いに対するひとつの答であるような気がしています。 これは、家族の物語でもあるけれど、同時に世代間の溝の物語でもあります。戦中戦後の日本がたどってきた道のりの物語でもあるし、もちろん現代の物語でもあります。親と子の確執の物語でもあり、そして(何しろムラヤマユカの小説ですから)むちゃくちゃせつない男と女の物語でもあります。ある意味、これまででいちばんせつないかもしれません。だって、ここで恋に落ちるのは兄と妹なのだもの。 一冊におさめられた六つの物語が、互いにからまりあい、最後には一本の長編小説となるように工夫をこらしました。六つのラストで、それぞれ違う読後感を味わって頂けるように努力しました。 戦争へ行って地獄をかいま見た家長である父親。互いの血のつながりを知らずに恋に落ちた兄と妹。そのむくわれなさを見つめて育っただけに、恋に臆病で、誰かの男としか付き合うことの出来ない末っ子。はたまた、自分の居場所を見つけられない団塊世代の長兄や、いじめにあっていることを親に言えないでいる女子高生の孫娘まで……。 あなたは、この中の誰にいちばん近いですか? ……また感想など聞かせて頂けると幸いです。 愛をこめて FROM YUKA 【 diary 】 comments (x) trackback (0)
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