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2004
Apr
15
AM0:00

文庫: 337ページ
出版社: 講談社
ISBN-10: 4062747545
ISBN-13: 978-4062747547
発売日: 2004/04/15

あなた、この世でいちばん重たい荷物って何だと思う?
傷ついたすべての心にやさしく降り積もる物語。

宿を整え、厨房を手伝い、動物の世話をする。訪れるのは不登校の少女や寂しい老人、夢を追う花屋の娘たち……。人々との出会い、自然と格闘する日々が、少しずつ祐介を変えていく。一方、瞳子は夫の消息を追ってエジプトへ。もう一度誰かを愛せる日は来るのだろうか――。壊れかけた心にやさしく降りつもる物語。

本書は失恋の痛手をかかえた大学三年生の祐介が、信州の宿にアルバイトでやってきて、そこで再生していく物語である。そう言ってしまうと、いや、それだけではこの小説の魅力のほとんどがこぼれ落ちる。(中略)村山由佳はのちに『星々の舟』で直木賞を受賞するが、それもこの作品のときから約束されていたといっていい。実に鮮やかな青春小説である。――<北上次郎解説より>


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2004
Apr
15
AM0:00

文庫: 309ページ
出版社: 講談社
ISBN-10: 4062747537
ISBN-13: 978-4062747530
発売日: 2004/04/15

楽しいのに静かに人生について考えさせる。こういう小説はそうあるものではない。
北上次郎(本書解説<下巻に収録>より)

恋人由美子の心変わりの相手が兄貴でさえなかったら、ここまで苦しくはなかったのかもしれない。傷心の祐介は、大学生活から逃れるように、信州菅平(すがだいら)の宿「かむなび」で働き始める。頑固だが一本筋の通った園主(えんしゅ)、子連れでワケありの瞳子(とうこ)……。たくましく働く明るさの奥に、誰もが言い知れぬ傷みを抱えていた。

由美子のあのほっそりした体が今この瞬間にも兄貴の腕に抱かれているかもしれないと思うと、僕は、噴きあげてくる嫉妬で叫び出しそうになった。胃袋の底をライターの火でジリジリあぶられているような気がした。たとえあの二人が別れたところで、僕と由美子は元に戻れない。あきらめて忘れるしかないのだ。いくら自分にそう言い聞かせても、痛みはおさまらなかった。―――少しも。――<本文より>


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