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2008
Mar
01
AM2:02



 夜10時半、週刊文春「W/F ダブル・ファンタジー」連載第40回を脱稿。急いで担当A嬢に送付。
 昨日、突然ひどい偏頭痛に見舞われて起きていられなくなったせいで、今回はいつもよりまる一日遅れてしまった。不覚でした、ごめんなさい。
 昨年5月の連載開始から、ただの一度もストックを作っていないという話を、このあいだ評論家の池上冬樹さんにしたら、つい先日、担当A嬢が池上さんと会った折に言われたそうだ。
「Aさん、あなたほんと度胸あるねえ!」
 や、おいらもマジでそう思うよ。
 つか、昨年末に尿管結石で七転八倒した時に、たしかストック原稿の必要性を、我と我が身で思い知ったはずじゃあなかったか。
 喉元過ぎれば……というのは私のためにある言葉だね。へへ。



ここ最近の温かさで、鴨川の農場の土手にはフキノトウがたくさん出てきたそうだ。
 もうそんな季節か、と思う。
十五年を過ごしたあの土地を離れ、東京でひとり暮らしを始めてそろそろ二年。都会の真ん中で、しかもマンションの高層階なんかに住んでいると、以前はあんなに身近だった季節の変化につい疎くなる。
 おととしの今ごろ撮ったアルバムをひらいては、庭や、花や、動物たちの写真にじっと見入ってしまう。
 後悔では、決してなくて。
 ただ、愛惜、なのです。ふふ。




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2008
Mar
03
PM12:34

 ねむい。病的に、ねむい。
 すこし咳が出るし、風邪気味なのかな。
気分直しに、包丁を研いだり、トイレの掃除をしたりして、ついでに花も飾ってみた。駅前で買ってきた紅白の桃と菜の花。そういえば今日は雛祭りですわの。

「おいしいコーヒーのいれ方」第四回の原稿と、粛々と格闘中。
 おかずの材料を買いに出かける気力がなかったので、夕食は店屋もの、釜寅の釜飯。魔法瓶に入ったおだしが付いてきて、最後はお茶漬けのようにして食べられる。
 余ったおだしはもったいないから鍋にとっておいて、明日お味噌汁にすることにした。

 あ、そういえば、昨日は通販で取り寄せたタラバガニをむさぼり食ったんだよな〜。そんなに好物というわけでもないのだが、たまに食べるとおいしいもんです。
 でも、脚一本も食べればもう満足。あとは自動的に、一緒に食卓を囲んだ友人のものに。
 カニが好きでたまらん! という方は、私とお食べになるのがよろしいんじゃないかと思います。

 さ、仕事に戻ろう。



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2008
Mar
04
AM7:32


 朝6時、「おいしいコーヒーのいれ方」Web連載の第四回をどうにか脱稿。
 読者へのメッセージと合わせて、メガネの担当N氏に送付。

 ああ……これでまた十日足らず、命をつなぎました。
 でも、間に週刊文春連載『W/F』を書いたら、また続きを書かなくちゃ。それも量を増やして書かなくちゃ、5月の末にいつもどおり本が出なくなっちゃうよ……(TÅT)





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2008
Mar
08
AM2:56

 なんでだか、二、三日前から咳が止まらない。
 ブロン液だとか、コンタックの咳止めカプセルなど、薬を飲めばしばらくはマシになるのだけれど、そのかわり天井が回ってくらんくらんする。
 ので、仕事の最中は薬を飲まずに、咳が出ても我慢するわけだが、しょっちゅうケンケヘン、ゲェッホゴォッホとやっていると、振動のせいか頭が痛くなってきて、それはそれでまたつらい。
 こうなったらとにかく早いとこ原稿を仕上げるしかねえべというわけで、トイレ以外は座りっぱなしで、夜まで。

 夜七時過ぎ、週刊文春『W/F ダブル・ファンタジー』第41回を脱稿。
「またまた、またまた、こんなに遅くなってごめんなさい!」
 のメール付きで、急いで担当A嬢に送付する。
 なんと彼女も私とまったく同じ風邪で苦しんでいるらしく、しばらくして、「とてもお聞かせできる声ではないので…」とメールで感想が返ってきた。
 こちらが今回いちばん書きたかった部分をきちんと受けとめた上で、「すばらしかったです。本領発揮ですね」と言ってもらえて、心から安堵する。

 しっかし、あれですな。
 毎回こうエロくさいシーンばかり書いていると、だんだん感覚が麻痺してきて、何がエッチで何がそうでもないのか、よくわかんなくなってきちゃったよ。

 いや、ポルノ小説を書いてるわけじゃないんだから、エロきゃいいってものでもないのだけれど、なんというか、せっかく覚悟を決めて書く以上は、単に赤裸々なばかりの性描写じゃなしに、エロスのもっと奥まで手をのばして何かをつかみ取りたいわけですわ。
 古今東西、女流作家による〈赤裸々で大胆〉な性愛小説はいくらもあるが、露悪的な性表現をどれだけ重ねたって、女の性の凄みを描いたことにはならんだろう、と常々思っていた。特殊が普遍に至ってこその本物だろう、と。
 ならば、どうするか。どう書くか。
 まだまだこれからエッチシーンは出てくることだし、こんどはもっと違う角度からも攻めてみることにしよう。がんばります。

 さて――明日は兄貴が、福島から2トントラックを運転してやってくる。
 というのも、こんど引き払うことにした仕事場には私の気に入っている大きなソファがあって、それを今住んでいるこのマンションに運ぶためには、こちらに置いてあるソファ(これだって十一月に買ったばかり)を放出せねばならず、つまり兄貴はそれを引き取りにくるというわけなのだ。
「革張りで真鍮の鋲がずらりと並んでるやつだけど、要る?」
 と言ってみたら、いっぺんに飛びついた。まあ、兄妹して好みがそっくりだからね。そう言うと思いましたよ。

 で、ソファを積んだトラックにくっついて、これまた今回兄貴に泣く泣く譲ることにした私のジープ・ラングラーを運転していき、一泊したら車を置いて、私は電車で戻ってくる、と――そういう手はずなんであります。

「こっちへ来たら、旨い魚をおろして食わせてやるからな。楽しみにしてろさ」
 と兄貴は言っていた。
 まあね、新品同然のソファはタダで差しあげ、高値で売れるはずのジープも「ある時払いの催促なし」なんだから。
 可愛い妹のために、それくらいはしてもらわなきゃあねえ。 



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2008
Mar
09
PM23:13



 帰ってきました、福島から。
 へろへろれす (。_゜)

 二日間とも空は素晴らしく晴れ、愛するジープラングラーとの別れを惜しむには最高のドライブ日和だったし、兄貴は「ああこれでカヌーを積んで遊びに行ける」とめっちゃ喜んでくれたしで、だからそれはよし。
 じゃあ何がへろへろの原因かというと……いちばんは帰りの電車かなあ。
いわき駅から「スーパーひたち」というのに乗って上野まで2時間半ほどかかるのだが、車内はもわぁ〜っと暑いわ、空気は淀んで息苦しいわ、同じ車両のおっさんたちはやたらと騒がしいわで、すっかりくたびれてしまった。
 あと、もうひとつはやっぱ、夜更かしのせいですな。ゆうべ真夜中に市街のプールバーへ出かけ、三時間もぶっ続けでナインボールに興じたもので、寝不足なのであります。
 ったく、咳は相変わらず止まんないのによ〜。夜遊びしてないで寝ろよ〜。

 でも――。
 こんなふうに兄妹そろって一緒に遊んだり、深夜まであれこれオトナの話をしたり、なんてことは、これまでだったら絶対あり得ないことだったから、兄貴がえらく嬉しそうで、私もそういう兄貴を見るのが嬉しかった。
 
 そうそう、ひとつ、びっくりしたこと。
 私のジープ・ラングラー(もう私のじゃないけど)の後部座席には、インディアンの織物風ブランケットがかけてあった。青と白と黒の、ギザギザ縞模様の。二年前に小淵沢で乗馬競技の大会に出たとき、現地のショップで買ったものだ。
 と、今回、初めて訪ねた兄貴の部屋の、ソファベッドにかけてあるブランケットを見たら。
 ……なんでおそろいなのよ。

 おまけに、兄貴も部屋の中に自転車置いてるしさ。
 ベッドのサイドテーブル代わりにしてるコーヒー豆の樽は、私が鴨川でサボテンの鉢カバーに使ってたのと同じだしさ。
 テーブルセンターのかわりに掛けてあるのは、珈琲豆用の麻袋(ドンゴロス)だしさ。私は同じものを、仕事部屋の玄関マットに使ってたけど。

 ――ま、そういう似たもの兄妹です。

 写真は、ジープくんさよなら! の記念撮影(号泣)。
 ああ……なんてカッコイイんだ……。
 やっぱりおいらは、あらゆる車の中で、おまえをいちばん愛しているよ。
 でも、兄貴が乗っててくれるなら、また会えるもんね。


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